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原告意見陳述要旨(原告矢野)
原告の矢野佳久です。私は、今回の配置転換の状況をお話して、NTT「構造改革」の実態を訴えさせて頂きます。
私は長年技術職として働いてきましたが、今年5月1日に、営業職場へ配置転換させられました。6日後の5月7日に大阪でのスキル転換研修に参加させられ、研修直後の6月3日には、大阪への配置転換を言い渡されました。
落ち着いて考える間も与えられないままに、私は赴任の準備にとりかからざるを得ませんでした。従来の四国地域内の異動と違う大阪への配置転換で、赴任の準備にも大変手間取りました。大阪茨木といっても、もちろん地理も判りません。知らされたのは、赴任先の課長の名前と電話番号だけでした。宿舎が決まるまでのホテルの手配、航空券の予約、大阪での社宅の申込み、引越しの中込み等慣れぬ作業に、あっという間に一週間は過ぎてしまいました。結局、赴任先の課長からの連絡は無いままでした。
赴任直後に、「引越しの都合もあるので、アパートを見に行きたい」と課長に申し出ましたが、「有給休暇をとってやって下さい」との返事です、私は一瞬言葉をを失ってしまいました。「宿舎は、此所へ準備しています、通勤はこの電車で、駅はどこそこです」との、受け入れを予想していた私にとっては意外な対応でした。遠方より転勤して来た者に対し、このような対応がこの施策のやり方なのでしょうか。他の企業でも、こうした対応がなされるのでしょうか。
私は現在、大阪の吹田市に住んでいます。勤務場所はNTT茨木ビルの、第13営業担当で、仕事の内容は、お客さん回りの営業活動です。
出初心者ばかりの営業職場ですが、十分な商品知識や技術内容の指導や研修も行われないままで、行われたのは、同じグループ内の同僚がチューターとなって行われる勉強会程度です。
営業の中心商品は、IP系と呼ばれる「フレッツADSL」や「Bフレッツ」という商品です。会社が準備した当初の訪問先は、契約回線数が1、2回線の小規模ユーザーが中心で、「インターネットは、解らない」というようなお客さんも多く、受注の成果にはほど
遠いものでした。7月に入り、会社が新たな訪問先を出して来ました。この訪問先は、既にインターネットを利用しているお客様でしたが、逆に自分に合った商品をすでに注文済で、新たな受注にはなかなか結びつかないものでした。最近では、「Bフレッツ」という光ケーブルで提供する商品を重点的にして、担当区域外である大阪中央地区への販売活動を計画しています。
こうした「ADSL」とか「Bフレッツ」といった商品の営業活動は、現在西日本の全ての支店で戦略商品として位置づけられ営業活動が行われています。わざわざ慣れない土地へ配置転換を行い、行わせなければならない理由も根拠もありません。NTT大阪支店では、5月の「構造改革」以降、雇用選択でNTTに残る選択をした社員を大阪府下9事業所のソリューション担当に集めて、外回りの営業活動を行わせています。私の配属先の第13営業担当は、課長と課長代理が各1名、NTTに残る選択をした51歳以上の社員が20名で、50歳以下が4名の職場でした。6月からこの間にはその内16名もの人たちが転出させられ、11名が転入して来ました。私も長年、電電公社からNTTと働いてきましたが、半年の間に、担当内の三分の二もの人が入れ替わるという職場は見た事も、聞いたこともありません。
11月には、茨木の職場から名古屋へ3名、東京へ1名が配転させられました。配転先での仕事は、IP商品のチラシ撒きや、ワープロでの文書作りなどで、まさにどこに居でもやれる仕事です。5月からの半年間、当地でお客様に名刺をお渡して、今後の取り次ぎ活動をさせておきながら、そうした社員を次々と配転させているのが実態なのです。
こうした配置転換は、雇用選択でNTTに残る選択をしたことを理由に見せしめとして行われています。私のように地方から送り込まれたものには市場性のある大都市圏で活躍してもらうとしてきましたが、大都市圏の大阪からの名古屋、東京への配置転換は、そうした言い分すら成り立たない不条理なものです。退職・再雇用をしたものと同様に、「痛みを分かたなければならない」という論理で、報復・見せしめが行われているのです。
私の病院の転院についても触れておきたいと思います、私は昨年来、NTT松山病院で胃潰瘍と慢性副鼻腔炎の治療を続けていました。大阪への配転後は、近くの病院へ出かけて
今までと同じ薬の処方を依頼しましたが、その病院では、「薬を飲んでも直らない」などと要領を得ませんでした。結局、休暇をとり、NTT大阪病院へ出向いて通院を続けることになりました。
私たちのような年齢では、体のどこかにいつ変調をきたしてもおかしくありません、茨木の職場でもこの間に心臓疾患で二人が倒れました。一人は、机に座ったままの状態で状態が急変し、職場から救急車を呼びました。早い措置で、この方は事なきを得ました。もう一人は滋賀県から通勤しており、一ヶ月の入院治療後退院して、現在は半日の勤務をしています。
知らない土地で、新たな病院を探して通院するだけでも、非常に労力を使います。不必要な配転でのこうした負担は私にとって大変大きなものとなっています。こうした年代の遠隔地配転、単身赴任が与える影響を知った上で、このような措置が行われたとするならば、その責任は重大です。
先日、私の所属する通信産業労働組合で、不当な遠隔地配転への抗議のために、NTT大阪支店へ出向きました。大阪支店ビルでは、入り口に屈強な若手社員が立ちはだかり、会社は「代表者としか会えない」と不誠実な態度に終始しました。社員への訴えには聞く耳を持たない、団体交渉に当っても不誠実な対応をする。このようなやり方に、怒りの眼に涙をためて抗議する60歳間近の労働者の姿を、経営責任者は一体どう受け止めているのでしようか。
私はNTTの職場が好きです。三十数年間携わってきた通信設備に関わる仕事には、誇りを持って勤めて来ました。私は、NTTが違法・脱法を行う企業になるのが許せない」、この一点で、今ここで訴えています。社員が安心して働き、「将来に夢が持てる会社だ」と、胸をはって言えるような会社にする、企業の責任者にはそういう使命があると私は思っています。企業が、ただ儲けのためだけに、その社員や家族を泣かすようなリストラ競争に奔走しては、未来はありません。
近い将来、若い人達に「こんな時代もあったんだよ」と、こうしたことが昔話しとして話せる時が来ることを信じて、私の陳述を終わります。
以 上
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