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 田井原告団長の意見陳述

                                

                                       一審原告 田井 活夫

 一審原告の田井活夫です。
 本日控訴審の結審にあたり陳述の機会を得ました。感謝を込めて私の思いを陳述させていただきます。
 被告NTTが本件配転の名の下に行ってきたことは、被告のリストラ方針に従わなかった者を、あたかも反逆者として処罰するがごとく、無意味な業務を押し付け徒労感を味あわせ、職業人としての誇りを奪い、長距離配転によって家族や地域社会との絆を引き裂き、身も心もずたずたにするというものでした。
 被告NTTにとってはこのリストラ計画を貫徹するために、本件配転を強行することが必要不可欠な手段であったのです。
 それ故に、本件配転は本人同意も、家族との生活、地域との関り等のさまざまな事情についても、いっさいお構いなしに強行されたのです。
 被告がこの事実をいくらごまかし否定しても、本件配転がリストラ推進のための脅し、見せしめの手段としてやられたことは、これまで雇用選択の対象者とされてきた50歳以上の社員はもとより全てのNTT労働者が怒り、悩み、苦しみの中で身をもって実感してきたところです。
私はまず何よりもこの事実を、貴裁判所にご理解いただきたいと思います。
 2002年11月、大阪地裁への提訴から今日までの約6年間で、11名の一審原告が定年退職となりました。
 このうち米倉さん、後藤さんの2名は配転先の名古屋、大阪で定年を迎えました。この事実は本件配転がまぎれもなく期限の定めのない見せしめ配転であったことの証です。

 家族への差し迫った日常的な介護、本人の健康被害等で配転元に再配置を勝ち取った原告は5名です。その再配置を実現するためのひとつひとつの闘いは、原告らの不利益被害がとことん深刻な事態に陥ってもなお、再配置を先送りし、一切謝罪もしない被告NTTの対応そのものが、本件配転の悪質性、非人間性、残虐性を一層浮き彫りにしました。

 さらに本件配転によってこうむった具体的な被害が、再配置や定年退職の後も、いや、原告らの生涯を通じて継続することになってしまうという許しがたい現実があることをご理解いただきたいと思います。具体的に2名の原告について述べます。

 一審原告佐藤さんは2002年5月岡山から大阪日本橋に配転され、堺市の単身寮で生活していました。2003年7月4日の夜、岡山で単身生活をしている妻美千子さんから電話が入りました。6月中旬から右足に痛みと腫れを生じ、日が経過するとともに患部が移転拡大していき、6月30日から一週間病院勤務を休み自宅療養していたが、痛みが肩、膝、手首に広がり運動障害を伴うようになり炊事もままならなくなったが、単身赴任の生活に耐えている夫に不安や心配をかけてはならないという思いから連絡せずにきたが、ついにそれも限界に達したという知らせでした。

 本件配転により夫婦が単身生活を余儀なくされ、その結果妻の発症を予知、予防できず、妻の病状が重くなった7月4日まで発症を知ることが出来なかったことが、その後の病状を急速に悪化させる要因となったことは明かです。
 佐藤さんは介護休職を12月末まで月単位で連続取得し、自宅で関節リューマチを患う妻の介護に専念しました。被告が佐藤さんを岡山に再配置したのは2004年1月1日でした。
その後も妻美千子さんの膝や手首の痛みは消えることはなく、現在の症状は左足が真っ直ぐ伸びない、全く正座が出来ない、両手首の痛みは、本人によればまるでガラスが砕けるようなバリバリという感じの痛みに襲われる日々だというのです。
無給扱いである介護休職の取得で、これまで原告佐藤さんの受けた経済的負担は約400万円に達しています。
 そして定年退職した現在も、日常生活で妻の介護を要する状態は変わらず、これから先もズット続いていくのです。

 また一審原告内田さんは、定年退職後も本件配転による異職種・遠隔地・単身赴任がもたらした心身の不調と疲れがいまだ癒えません。定年退職後も3回の入退院を繰り返しながらの闘病生活となっています。内田さんは本件配転以前は、通院したり服薬することもなく、健康上の問題はありませんでした。  ところが徳島から兵庫への本件配転の約1年後、2003年春頃から、いつも身体がだるく、疲れが取れない、口数も少なくなり、身体もやせ、同年7月「うつ」と診断され、服薬を開始しました。
 同年9月8日、大阪地裁での弁論期日の朝、裁判所門前で気を失い顔面から道路に倒れました。救急車で搬送され、幸いにも大事に至りませんでしたが、その日から4カ月間の病気休職を余儀なくされたのです。
 この間の徳島自宅での休業中の内田さんの状況を、妻美代子さんは「スタミナは何ものこっていない、とにかく今は充電期間だと身体全体が表しているようだった」と語っています。
本件配転による劣悪な住環境の単身赴任宿舎での生活、38年間熟練してきた業務と全く関係のない営業職で、成果など期待できない業務をあたえられ、業績は最低の評価で賃金差別といういやがらせの結果、健康はますます蝕まれていったのです。
 被告が内田さんを兵庫から徳島に再配置したのは2005年1月1日、2006年3月末の定年退職から2年数カ月を経てもなお前述のような健康破壊の状態が継続しているのです。

 中高年夫婦に単身赴任を強いることは、それ自体重大な不利益であります。
本件配転が強行されたことが、取り返しのつかない将来への禍根を残すことになってしまう現実をみれば、配転を命じた被告NTTが配転後に起こったことだと責任逃れすることは断じて許せません。その責任は限りなく重大です。
 50歳退職・賃下げ再雇用制度は成果業績主義賃金制度の徹底とともに、NTT労働者と家族の生活、働く権利と安心して働ける職場を破壊する元凶となっています。
ここに、私たちが裁判に訴え出たことの原点があります。

 貴裁判所が原判決の原告敗訴部分を破棄し、働くルールが確立遵守される社会、安心して働き生きて行ける社会に向かって前進していく確かな一歩となる公正な判決を下していただけることを心から期待し、私の陳述を終わります。
ありがとうございました。
                                               以上

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