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正義は我らにあり

                            NTTリストラ裁判大阪弁護団団長
                             弁護士 河村 武信

 NTT11万人リストラは、国鉄の分割民営化に次ぐ、労働者に最大の犠牲を押しつけて資本主義経済の部分的再生をはかる、資本による国家権力を用いたリストラ政策であった。運輸・通信という現代社会にとって不可欠な産業の国営から民営化という大きな流れのなかで、他方で労働戦線の右翼的再編による労働者の思想と団結を破壊することを伴いながら進められた。
 NTTの合理化攻撃の特徴は、最大利潤を追求するために実質的には企業の分社化をはかりな知ら、分社化をすすめる場合の法的規制をかいくぐるために、100%出資の子会社を作って、これに業務を移して外注し、NTTの従業員を退職させて、賃金をダウンして再雇用するという方式、そして他方で実質的には従業員を子会社へ出向させることになるのに、第二労務機関になり下がった多数派のNTT労組と結託して、出向協定による規制をかいくぐって、会社と個々人との間で、退職・再雇用の同意を強要して取付ける。これに抵抗して同意しない通信労組を中心とした、しっかりと権利意識をもった従業員に対してNTTは長距離、無期限の、しかも特に創り出された無意義な「仕事」をさせるべく配転を命じたのである。その「仕事」は、国鉄が国労組合員に与えた草むしりや自学自習の「業務」と同質のものであった。人を社会的に廃人にしてしまう業務である。労働の価値は、社会的参加と自己形成にあるーこの創り出された「仕事」とはI体なにであったか。
 それでも生真面目で、仕事熱心な原告の皆さんは、こんな閑職に就けるとは酷いではないかとの私の発言に不満のようであり、与えられた仕事は誠実に行うべきだという。こんなに人のよい誠実な人たちを、定年になるまで単身赴任や新幹線通勤をさせて仕事でない仕事を命じて廃人にしてしまう、この悪辣な労務屋はどんな面をしているのか。
 最大利潤の追求のために人を廃人にしようが、平然と不当労働行為を重ねる企業の論理は、人道に反する。ルールなき資本主義は経済の根本を誤っている。NTTリストラ配転と闘った私の基本的な視点である。
 思えば、配転事件で最高裁のリーディングケースとされている東亜ペイント事件(西本徹弁護士を中心に私も関与した)から20数年を経て、先日最高裁で確定をみた大阪高裁判決のなかには、配転によって労働者の蒙る不利益性を判断する要素として、育児・介護休業法が勘案されるとともに、労働者の「余暇の活用が制約されること」「社会的・地域活動が制約されること」「労働組合活動の制約をされること」も考慮すべき不利益性の要素とすべきことが、文の中に顕れたことは感無量である。東亜ペイント事件では「通常甘受すべき七度を著しく越える不利益」と判示され、その抽象的で且つ高いハードルは、生活人としての労働者の姿はなく、企業の都合を最優先する発想でしかなかったのだから。
 権利闘争は遅々としているようにみえる。然し万力で締め上げるように、確実に前進する。

            (NTTリストラ裁判 大阪最高裁勝訴報告集より)
  

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