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平成15年「ワ」第1209号 配転無効等確認請求事件
2003年3月19日 第2回口頭弁論
原告意見陳述

今後繰り返される選択者への
 「みせしめ」「脅しの道具」としての遠隔地配転

                                          意見陳述
                                          原告 池下彰信

 一、 私は、原告団の12番目に登録させていただいています池下です。私は、1965年4月、日本電信電話公社近畿電気通信局・難波地区管理部に通信職として採用され、徒歩10分の所に住居を構え、以来、1974年12月受付通信課が廃止されるまでの9年間は、電報業務一筋に、その後、28年間は、電話工事一筋にがんばってまいりました。

 二、ところが、昨年4月、50歳退職・賃下げ再雇用を選ばなかったことを理由に5月1日付けで大阪支店ソリューション営業部に配属させられました。
 最初の天満での3日間の研修では、講師から「ソリューションを習得するには、3年位はかかります。まず顔を売ることですね」と言われただけで、実践的な研修は無く、配属された寝屋川の高宮ビルでも「自学自習しろ」と言うだけで、具体的な指導目標も無く、放置されていました。

 三、6月になって、そろそろ顔を売ってもらわねばと出された名簿で、お客様回りをしてみて、唖然としました。ソリューションとは名ばかりで、スナックや食堂・理容院などの自営業で、Bフレッツはおろか、1回線の電話すら不景気で重荷になっているところばかりでした。
 いやがらせとしか思えない名簿でしたが、自分自身を励まし、恐る恐る玄関ベルやインターホンのボタンを押し、炎天下、地図を片手に、顔をこわばらせながら、慣れない手つきで名刺を渡して回りました。しかし、成果もなく、同僚と相談しながら、手作りのパンフを作成、これから成果を上げよう思った矢先の名古屋配転でした。

 四、私は、課長より名古屋配転の内示を受けて、即座に、毎日世話をしている近所の人や各種団体の役をしているので、転勤は出来ない、ましてや、単身赴任など想像も出来ないと断わりましたが、新幹線通勤と言う方法もあると言われ、文書で上申しましたが、1日おいて、「あなたのやっておられることは、大変立派なことだが、代わりの人がたくさんおられるでしょうから」と無視されました。
やむを得ず、新幹線通勤の申請をしましたが、座って通勤しようと思えば、午前5時起床、家を出てから2時間半以上もかけ、3回も4回も乗り換えて出勤、帰りも午後8時前後が普通で、町内会の活動やボランティアはおろか、家のちょっとした用事も家族の団欒も持てないのが実情です。ましてや、帰りに風邪気味だから、ちょっと病院へ寄ってといったこともできなくなりました。
 苦悩の末に退職・再雇用に応じた友人に3ヶ月378630円の新幹線定期を見せると、「やっぱり遠隔地に配転されたか!」「選択のとき、課長もNTT労組の役員も退職・再雇用を断ったら大阪での仕事はない言うとったもんな」と50歳退職・賃下げ再雇用を選んだことへの得心とも、姑息なNTTのやり方に対する言い知れぬ怒りが込められた感想が寄せられました。
 遠距離通勤も会社は2時間が限度と規定していますので、3分から6分のオーバーで新幹線通勤が承認されず、原告18名中5名が家族と離れ、泣く泣く単身赴任を余儀なくされています。単身赴任者にとって一番の心配は、年老いた両親の健康状態であり、妻や子の動向です。一時たりとも携帯電話のスイッチを切ることが出来ないそうです。その上、社宅として借り上げられたマンションからでも通勤時間は、1時間以上もかかり、24平米のワンルームで、10代の学生ならいざ知らず、50を過ぎた所帯持ちの入れる部屋ではありません。しかも、わざとバラバラに分散借り上げをし、孤独を味あわせるように、仕組まれています。

  五、名古屋での仕事ですが、私が配属させられた中村ビルのBフレッツ販売推進PT担当では、課長以下の平均年齢が54.8歳、とてもプロジェクトとは言いがたい、年寄り集団で、ましてや、私ら営業マンのなりたてがチラシの配達をしただけで、この不況の中、新築ならいざしらず、設備投資をしてまでマンション・タイプを設置してくれるオーナーはありません。赴任して5ヶ月になりますが、一生懸命に売ってはいるのですが、未だに成約はありません。
 大阪でもそうでしたが、売れないのを見越した名簿を回らせ、一時金や賃金査定で最低のD評価を出すなど、「いじめ」「いやがらせ」としか言い様がありません。
 原告団のもう一つの配転先であります金山ビルでは、大阪での経験は全く無視され、一日中パソコンを相手に、マニュアルの会社名や連絡先等の修正、新たなマニュアルの作成のみで、果ては、名古屋まで新幹線定期を使ってコピー焼きをさせるなどの一過性の仕事でしかありません。同じ課でも50歳以下のグループは、ユーザー折衝などで毎月37時間の限度を越える超勤をして業務をこなす同僚もいます。「名古屋で必要」との理由をつけて遠隔地配転までさせながら、私たちのスキルを引き出そうとする会社の姿勢はみられません。

 六、総じて見ますと、50歳退職を選ばなかった「はらいせ」と50歳退職・賃下げ再雇用を選んだ人達に「やっぱりそうか、遠隔地配転か」と思わせ、今後繰り返される選択者への「みせしめ」「脅しの道具」でしかありません。
 私は労働組合運動にもかかわり、入社2年目からNTT労組の前身である全電通の分会役員をはじめ、現在所属しています通信労組でも堺で9年・西九条で2年分会長として、本件リストラ計画撤回への先頭にたち、寝屋川では書記長に就任したばかりでした。私ばかりではありません。名古屋転勤の大半は、役員経験があり、分会役員を狙い撃ちして組合つぶしを図っているとしかいいようがありません。
 当法廷での公正な審理で、NTTの違法・脱法をやめさせ、一日も早く、居住地の近くで社会奉仕をしながら、仕事も続けられる環境を整えていただけるよう切にお願いをして陳述を終わらせていただきます。
                                                以  上

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