| 札幌地方裁判所 2006年6月7日に開催された北海道リストラ裁判での原告側最終弁論です。 原告 馬場芙美子 意見陳述
1 毎年1兆円を超える経常利益をあげている超優良企業のNTTは、さらなる利益の最大化をめざすために、私たち50歳以上の労働者を「じゃまな石」扱いにして、ぼろ雑巾を投げ捨てるかのように差別して子会社に追い出そうと、11万人リストラを強行しました。 その会社の意に従わないでNTT東日本に残る選択をした労働者に対して、会社は、「報復・見せしめ」のために仕事を取り上げ、様々な個別事情を無視して家族を引き裂く遠隔地配転を強要しました。また、NTTに残りたくても様々な事情でどうしても残れない社員に対しては、NTTを退職させ、賃金を3割もカットして子会社に再雇用するという姑息なカラクリを強制したのです。まさに、辞めるも地獄、残るも地獄のNTTリストラ計画だったのです。 2 私は、私自身の意思を無視され、病気がちで年老いた両親がいる滝川からとても通勤できない苫小牧へ配転させられました。苫小牧へ転勤して翌年の12月、夫が余命幾ばくもない病で入院しました。私は、1秒でも1分でも長く傍で看護したく自宅から通勤できる事業所へ再配転してもらいたいと、何度も会社にお願いしましたが会社はいっさい応じてくれませんでした。私は止むを得ず看護休職を取り夫に付き添っていましたが、夫は私が滝川へ戻ることを願いながら一昨年の6月亡くなりました。 NTT東日本は、ただ夫の傍にいて看護したいだけのささやかな私の願いよりも、NTTに残った者に対する見せしめ・報復配転を続けることのほうが大事だったのです。こんな悔しい思いは初めてです。 3 私たちは、NTTを退職することを拒否したために見せしめ配転にきれましたが、やむを得ず賃金3割カットで子会社に再雇用された50歳代の労働者も大変な苦痛を受けています。NTTに30数年働き続けてきた116センターの同僚は、「手取りの給料もボーナスも、新入社員で看護師である自分の娘の給料の方が多くて、負けてしまった。今のNTTを築いたのは自分達だという誇りも失いそうだ」と言っていました。また、50歳代の社員には、高校生や大学生などの子供がいて多額の教育費がかかったり、住宅ローンの支払いも残っている人が少なくありません。 これからマイホームをと考えていた人の夢は無残にも消えてしまったのです。 実際、各種の手当が減額されたり廃止になったりで、3割カットでは済まなく年収にすると、4割カットになっているのです。毎月の手取り賃金でみますと20万円を切る人がほとんどで、生活保護基準額になっているのが実態です。ほんとうに、みんなが貯蓄を取り崩す生活を余儀なくされています。ですから、生活費の補填となっている大事な「企業年金」の減額申請が、厚生労働省によって却下されたと、職場に伝わった時のことですが、「オリンピックの荒川静香の金メダルより、価値がある」と喜びの声があがったと聞いています。この悪魔の選択通知は、毎年50歳になる社員に突きつけられるのです。50歳で毎年苦渋の選択を迫られる、こんな労働者を苦しませ、犠牲者を出す「雇用選択」制度は1日も早く無くさなくては駄目です。 4 私たちの仲間だった奥村喜勝さんは、NTTリストラの犠牲者の1人です。重い心臓病を抱えた奥村さんは、悩みになやみながらもNTTに残ることを決めて、職種転換を前提にした長期の宿泊研修に参加しました。研修後どこに配転されるか分からない不安や、いつ心臓発作が起きるかもしれない状況のなかでストレスを蓄積させた結果、過労死したのです。そのことは、奥村さんの健康状態の悪化や研修の実態を踏まえて判断をした札幌地方裁判所の判決、及びこの判決を「乱暴なリストラの警鐘」だと評価した北海道新聞の社説からも明らかです。 いま、NTT職場には、今年から全面的な成果主義賃金が導入されました。多くの労働者は、長時間過密労働にくわえて、成果主義による個別管理が強められ、労働者間の競争があおり立てられることによるストレスをひきおこし、労働者の体と心をむしばみ、在職死、過労死、自殺が後をたちません。 まともな人間関係が壊された荒涼たる職場で、メンタルヘルスの障害の広がり、労働事故・労働災害の多発も深刻になっています。また、熟練労働者をないがしろにした結果、職場の作業能率・モラルの低下を招き、設備産業であるNTTが技術の継承がされないという重大問題も懸念されています。 5 原告の阿部昭彦さんは、勤続40年のベテラン社員でした。その阿部さんが室蘭に配転させられて、当初は何もすることがなく、社員通路に近い席に黙って座っているか、産廃となる新聞、雑誌、ダンボール、パンフレットの整理、台車での運搬と雑用でした。「行ってらっしやい」「お疲れさま」の声かけは、当たり前のこととしてできましたが、このような状態は誰が見ても「無能、無用」の扱いであり」会社に逆らうと「このようになるのだ」と思わせるようにしたのです。結果として、社長通達に社員を服従させるための見せしめと脅かしに使われたのです。阿部さんは、このような不当な会社のやり方を許さない公正な判決を強く求めています。 6 原告石黒孝雄さんは、「『頚椎などの持病があり、両親の介護問題で二重に苦しむ私を早期退職に追い込むターゲットにして、遠く東京へ不当な配転をしたこと』『必要があっての東京配転では決してなく、嫌がらせ、見せしめの何ものでもなかったこと』『暗闇社会の復活のように盗み撮りを繰り返す人権感覚であること』など、NTT東日本のやり方を許すわけには行きません。」と述べながら、「私は、今も電電公社、NTTへと働き続けたことに誇りを持っています。どうか、NTTが行った理不尽なリストラを許さない裁判長のご判断を切に願っております。」と私に、思いを託しました。 7 昨年4月定年退職となった原告森博道さんは、「私のいた元NTT−MEの職場の人で子会社へやむなく行かざるを得なかった労働者から、『これから50歳を迎える人たちのためにも是非、裁判で頑張ってほじい』と訴えられました。私は、自分やまた、通信労組の組合員たちの問題だけではなく、多くのNTT労組組合員からも支えられながら、毎年続くこの不法なNTT11万人リストラを『50歳の春を泣かせるな!』を合言葉に是非、止めさせたいものです」森さんは、このように決意を語り、最後に「どうか、裁判長の公正な判決をお願いするものです。」と強く求めています。 8 今年3月に定年退職となった原告木内務さんは、次のように私に託しました。「NTTは、50歳以上の社員に、まるで破れ雑巾を投げ捨てるように、雇用選択通知書の提出を求めてきました。労働者としてその最後の時期、家庭人として子供たちの教育を始めとする種々の総仕上げの時期に、高スキルを求められる全国配転で脅し、賃金3割カットの選択を強要しました」「私は、企業が社員に対し、このように無慈悲で乱暴な手段を使い、利益の最大化のために労働条件の改悪を強行することを認めることはできません」 9 以上、私は、5人の原告を代表しまして意見陳述を行いましたが、これらの意見や願いは、NTTグループで働く全労働者の声と同じだと私は確信します。どうか、裁判官のみなさま、労働者に一方的な犠牲を強いるNTTの違法・脱法のリストラを裁き、私たちがこうむった重大な不利益と精神的・経済的な苦痛や損害に対するNTT東日本の社会的責任が明らかにされる、判決を下さるよう心からお願い致します。 これで、私の最後の陳述を終わります。 意見陳述 弁護士 佐藤 博文 |
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札幌地方裁判所 民事第5部 御中
1.原告石黒孝雄の仮処分申立事件から担当し、申立前からの相談、現地での調査、被告会社の非常識な対鹿などに直接関与してきた代理人として、本件t」ストラの本質及び特に原告石黒の権利侵害について、以下のとおり意見を述べる。 2.本訴訟は、労働契約における人間性の回復t確立が、わが国巨大企業においてどれだけ実現できるか、その試金石となる『人権裁判』であるとの思いを強くもつ。 言うまでもなく、労働契約は、労働者が労働力という商品を会社に提供し、その対価を受額する有償双務契約であるが、重要なことは、労働力は労働者の人格と切り離して売ることができないことである。労働者は、結婚している限り夫婦として常に生活をともにし、それにとどまらず緊密な夫婦関係を築くこと、その下で子どもを慈しみ育て.ること、同居あるいは傍にいるなどして年老いた両親と安らかな生活を送ること、仕事が終われば家庭人や地域社会の一員として様々な活動を行い自己実現を図ること、これこそまさにわが憲法の人権尊重主義に基づく人格権あるいは幸福追求権の具体的な発露にほかならない。 3.高度経済成長を経由して形成された、わが国の非人間的な長時間過密労働は、国際社会から「ルールを守らない資本主義」と非難されて続けてきた。すなわち、日本の労働条件の劣悪さ(低コスト)が、他国の経済を困難に陥れ、他国の労働者の労働条件や雇用に深刻な打撃を与えているからである。これを、ウランス人ポール・ボネは『沈まぬ太陽ニッポン』(角川書店)で、次のように皮肉った。「フランス人は、オーナー経営者でない限り、定められた労働時間の延長は絶対といってよいほど行わない。午後5暗が退社時刻なら、5時1分には『社員』ではなく『個人』になって会社を出て行く。」「『自宅で夕食をとるのは月に2回ぐらい・・』というのは、日本のビジネスエリートのむしろステータスを誇示するセリフだが、欧米だったらこの一言だけで、細君の提起した離婚訴訟の決定打になってしまう。」ボール・ボネが想定していたのは、今や国際語になった「ジャバニーズ・カローシ」だが、しかし、実は、過労死させられた労働者にはまだ帰る自宅があった(かつての奴隷も夜は家族一緒になれた)。単身赴任の労働者は、生活ごと会社に取り上げられ、家族と顔を合わすこともできない、家族でありながら家族としての生活がないという意味では、より深刻である。 本件リストラに伴う「研修」中に過労死した奥村さんは、まさにこの二重の意味で非人間的な死を強いられた最大の犠牲者であり、原告石黒は、プライバシーも自らの健康も夫婦生活も家族の絆もずたずたにされ、東京の地で最後まで頑張るも、ついに力尽き、定年まであと1年余という時点で、断腸の思いで退職を余儀なくされた犠牲者である。原告石黒が東京の路上で倒れ動けなくなったということを聞いたとき、よくぞ過労死しなかったというのが、私の正直な思いだった。 (1)夫婦同居が破壊されたこと 何よりもまず、本件リストラの強行を企図する被告会社の違法不当な目的のもとに、人格的生存の基礎である夫婦の同居生活が破壊されたことである。被告会社は、単身赴任による夫婦別居を業務命令に基づく「義務」として当然視するところから出発する。しかし、配転命令の櫨拠は就業規則に存するとしても、「単身赴任」を命ずる規定はない。前述した観点から単身による赴任は極力回避されるべきであるから、その業務上の必要性、合理性の主張立証責任は企業側にあり、かつ高度なものが求められる。本訴訟において被告は、一般的に「通常甘受すべき不利益」と言うに止まり、立証においても、必要性・合理性を積極的に証明できず(最初の青砥勤務の部署はすぐに廃止になり、次の北千住勤務の主業務は要するにチラシ配布である)、却って、反対尋問あるいは反証で、矛盾を露呈した(32人中31人が満了型でも、満了型を集めたことを否定する大内証言など)。 (2)健康破壊が進行し、定年前の退職を余儀なくされたこと原告石黒は、40代半ばに頚椎に異常を来たし首、肩、腕、などに痛みが走るようになり、年々悪化し、札幌通勤となった2001年には長時間通勤の疲れと初めての業務による疲労が重なり症状が悪化して入院した。かかる経緯は会社も十分承知していた。そして、本件配転命令で東京に行っていた2004年4月、路上で突然動けなくなり、約3カ月間の治療及び療養を強いられ、同年12月をもって退職の止むなきに至った。定年間近の原告石黒に対し、初めての東京生活による慣れない気候・生活環境、夫婦別居の不自然な生活、新しい業務習得への肉体的・精神的疲弊などが容易に予想できる。これは、「もう辞めろ」と言ういじめにほかならない。 (3)高齢の両親に対する介護ができなくなったこと 父親(86歳)は緑内障で片目の視力を失い、他方の目もわずかに光を感じる程度で身体睡害等級1級に認定され、歩行もままならずほとんど寝たきり状態(要介護度3)にあった。母親(81歳)も変形性関節症による左膝関節機能全廃により身体障害等級4級に認定され、原告石黒及びその妻による援助、介護が必要であった。 このような家庭事情を抱えた定年退職間近の労働者が、地元で面倒を見たいとするのを、代替労働者が多数存在する被告のごとき大企業で拒絶する理由がどこにあるのか。 会社は、原告石黒の妻がいるではないか、姉妹がいるではないか、妻の親が苫小牧市内にいるではないか、最後には施設に入れればいいではないかとまで言った。妻が夫の両親の介護をするのが当然だ、婚家に行っても両親の面倒を見るのは当然だ、婚家の両親も使え、という非常識・反社会な発想に、我々は言葉を失った。被告会社では、労働者は、家庭という私情を捨てて会社に尽くさなければならない。そして、原告石黒に対しては、前述した辛労困僚の状態にさせておきながら、休日毎に苫小牧に帰っていない、だから介護のご必要がなかったのだと、平然と主張する。何と非情な会社であろうか。 (4)家族生活の監視継続・盗撮がおこなわれたこと 原告石黒は、2002年8月配転禁止を求める仮処分命令の申立を行ったが、あろうことか被告は、その従業員らに両親宅を連日にわたって24時間監視させるという前代未聞の挙に出た。当初、被告は、従業員が「たまたま通りかかったところ」原告石黒の母親が歩行補助のために買い物用の引き車を用いて自宅付近を出歩いているところを発見したので撮影したと言っていた。かような見え据えた嘘こそ、被告が反社会的行為であることを自覚していた証左である。 4.最後にもう一度、「社畜」の話をしたい。インターネット上で「社畜日誌」「新社畜生括」「社畜脱出計画」といった、自嘲を込めた「社畜」論が盛んである。その中に、「社畜車」なる言葉がある。窓がなく自分で外の空気と調節する自由が奪われている車両のことであり、そこから、閉ざされた箱の中での空気調整を仕事と勘違いしている人間の意味に使われていた。 本訴訟の証拠調べを通じ、私は、被告側証人で出てきた労務・人事担当の比較的若い職員の方々の証言態度・内容を見ていて、この話を想起した。裁判所には、日本最大の企業の1つである被告に、外の自然の空気を送り込む判決を下していただきたい。 以上
平成14年(ワ)第1958号外 配転無効等確認請求事件 原告馬場笑美子外4名 被告 東日本電信電話株式会社 2006年6月7日 意 見 書 札幌地方裁判所民事第5部合議係 御中
上記原告ら訴訟代理人 弁護士渡辺達生
1 NTTリストラ北海道訴訟は、本日、結審を迎えます。本訴訟の提訴が平成14年9月ですので、それから約3年9ヶ月、本訴訟の先行訴訟というべき原告石黒の仮処分の申立から約4年を経て、今日に至っています。 この間、原告が提出した準備書面は(1)から(11)まで11通に及びます。原告らの法的な主張については、主に準備書面(9)に中心的にまとめており、立証を踏まえた、原告らの主弓削こついては準備書面(10)にまとめています。 今回の限られた最終弁論の時間で、原告らの主張の全てに言及することはできませんので、この意見陳述では、次の2点について言及をしたいと思います。 2 原告らは、本件配転が無効であることを主張していますが、その無効の中心的な理由の一つが、本件配転が、被告の意向を無視し、退職・再雇用を拒否した原告らに対する見せしめであるということです。原告らが、本件配転を見せしめと主張する根拠については、この間、主張・立証を重ねてきましたが、ここでは、甲252号証について、特に述べておきたいと思います。 被告が再配置を必要と判断した41人について、氏名、年齢、所属労組、元々の職種、選択時の職種、配転後の職種等をまとめた一覧表が甲252号証です。 この一覧を見て判ることは、まず、最終的に道内で再配置が必要と判断した24人について見ると、被告は、例外の4人を除き、全員について拠点をまたがる異動をさせているということです。この事実が意味することは何でしょうか?この配置が如何に不合理なものであるかは、ここの配置を見れば明らかであります。 例えば、苫小牧支店について見ると、奥晴夫(1番)がSEとして、原告馬場芙美子(2番)がサポート纂務として配転されていますが、SEが必要であれば、元々、苫小牧にいた工藤博厚(29番)を配置すれば足りたはずでありますし、サポート担当が必要であれば、元々、苫小牧で勤務し、札幌で当時勤務していた原告石黒(35番)を配置すれば足りたはずであり、かかる配転の方がよっぽど合理的です。準備書面(10)で詳しく述べていますが、このような理は、他の支店にも全てあてはまります。 拠点間を越える配転の大半が、一見して不自然・不合理な配転であり、しかも、全員を配転しているということは、配転すること自体が目的であったといわざるを得ないのではないでしょうか?被告の鳥越証人は、退職・再雇用を選択した労働者と選択しなかった原告らを同じ職場に置くことができない理由として、モラルハザードを挙げていますが、モラルハザードを生じさせないようにするためには、原告らを同じ職場に置かないだけでなく、当初の噂のとおり、広域配転を行うことが被告にとって不可欠だったのではないでしょうか? だからこそ、原告らは、本件配転を見せしめと強く主張しているのです。 3.もう一つ言及しておきたいことが、被告を含むNTT各社が厚生労働省に対し行った確定給付企業年金の受給者減額申請について、厚生労働省が、本年2月10日、その申請を不承認としたことです。 不承認の理由は、被告らの申請がその要件を満たさなかったということですが、その判断には、本件訴訟と重なる重要な判断がなされています。 すなわち、不承認になった最大の理由は、被告を含めたNTTグループの経営状況が、企業年金の引き下げを認めるほど、経営状況が著しく悪化しているとは認められないということです。このことは、本件構造改革との関係で言えば、経営状況が悪化していない中で、労働者の労働条件を激変させるような本件構造改革が認められるのかという正に、本件訴訟で原告らが問うていることと直接関わります。 この件について、2006(平成18)年2月16日の厚生労働事務次官の記者会見において、事務次官は次のように述べている(甲240号証)。 「企業年金が退職金の分割払いという性格があるのではないかということが言えるのではないかと思います。そうだとすると、労働条件の不利益変更法理があるわけです。・・・・中略・・・・やはり労働条件の不利益変更法理においても、不利益変更の必要性というのが求められている以上、企業年金についても当然ではないかと個人的には思っております。」 この発言の意味することは何でしょうか?要するに、企業年金の引き下げにも労働条件の不利益変更の法理があてはまり、NTTグループの場合、経営状態が良好であり、企業年金の引き下げの必要性が認められないということであります。この理は、賃金の問題にも、そのままあてはまります。この厚生労働大臣の論理を前提にすると、51歳以上の労働者の賃金の30%を引き下げるという本件構造改革は、労働条件不利益変更の接理から認められないということになります。 4 本件訴訟は、直接は、原告4人の配転が無効か否かが直接問われています。本件配転で受けた被害は、この間の準備書面で詳細に主張しています。原告石黒の被害については、先に佐藤代理人から説明がありましたが、このような被害は、全面的ではないにしても、両世代の原告ら全員に共通するものです。原告らは、高卒で電電公社に就職し、約40年にわたり、電電公社及びNTT一筋に働き.今日のNTTの隆盛を作り上げ、支えてきた者たちであります。定年を控え、自分の今後の生活を作り上げようとしていた時期に、一方的に会社から配転を命令され、それまでの安定した生活の一転を余儀なくされたのです。 莫大な利益をあげているNTTが、利益の最大化を目指して、労働者に一方的に負担をかぶせることは許されない。かかる思いが、原告らが、本訴訟を提訴した第1の目的です。 また、原告らは、本件構造改革の違法性を問うために、本訴訟を提訴いたしました。原告馬場が意見陳述で述べましたように、自己の配転の是非を問うためだけでなく、正に、NTTの労働者全員に対する攻撃である本件構造改革の是非を問うために本訴訟に立ち上がりました。本訴訟は、労働契約における人間性の回復・確立を問う「人権裁判」であります。 裁判所に置かれましては、原告らの訴えを真筆に受けとめ、被告NTTの違法を断罪する判決を下されるようお願いいたします。 以上
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