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平成19年(ウ)第777号 裁判官忌避申立事件
              決             定
    群馬県
         申     立    人       飯    野     和    子
    群馬県
         申    立    人        金   子   恵   美   子
    新潟県
         申    立    人        久    保     建    男
    宮城県
         申    立    人       渡    部           久
    北海道
         申    立    人       鎌    倉     清    美
    千葉県
         申    立    人        佐    藤           清
    神奈川県
         申    立    人       志    賀     正    雄
    横浜市
         申    立    人       笹    原           武
    東京都
         申    立    人        野    形           葵
         上記9名代理人弁護士     上    田     誠    吉
         同                  坂    本           修
         同                  今   村  幸   次    郎
                              ほか32名

               主            文

       本件忌避申立てをいずれも却下する。


               理           由

  1 本件忌避申立ての趣旨は,申立人らが控訴人(原告)らとして提起した
   配転無効確認等請求控訴事件(東京高等裁判所平成19年(ネ)第247
   5号,原審・東京地方裁判所平成14年(ワ)20737号。以下「基本事
   件」という。)について審理している当庁第20民事部裁判長裁判官宮崎
   公男,裁判官山本博及び同今泉秀和(以下「本件裁判官3名」という。)
   に対する忌避申立ては理由があるとの裁判を求めるにあり、その理由は別
   紙「忌避理由書」(写し)の「第3 申立の理由」記載の通りである。

  2 当裁判所の判断
   (1) 民事訴訟法は,審級制度の下で,裁判所,裁判官がした裁判に対し不
     服のある当事者が上訴の提起をすることができることを定め.訴訟手続
     内の不服申立手続を整備している。これは,訴訟手続においで違法な裁
     判がされた場合に,事後的に当事者が不服を申し立てることによりその
     是正を図ると共に,当事者の権利の救済を確保することを目的とするも
     のであり,裁判に対する不服を申し立てる原則的な方法である。判決に
     対して不服のある当事者が上訴を提起すれば,弁論終結に至るまでの間
     に行われた審理についても違法な点がないかどうかが審理され.ることに
     なるのであり,証拠の採否等にっいても審理不尽の違法がないかどぅか
     等の観点から審査されることになる。

      これに対し,同法第24条が定める裁判官の忌避の態度は,裁判官に
     ついて裁判の公正を妨げるべき事情があるとこは,当事者が裁判官を忌
     避することができることを定めるものであり,裁判が現にされる前に当
     事者が裁判官をその事件の審理判断から事前に排除することができる点
     において.上記の原則的な不服申立方法の例外をなす制度である.した
     がって,当事者が裁判官を忌避することができるのは,実際に裁判がさ
     れた後にその結果をみてこ不服を申し立てることにっては賄いきれない
     ような特別な事情が訴訟手続外に存在する場合に限られるのであり,事
     件とこれを担当する裁判官との間に裁判の手続外における特別な要因が
     存在するため,当該裁判官によっては,その事件について公平で客観性
     のある審理判断がされることを信頼することが困難であると判断される
     ときがこれに当たると解するのが相当である。そうすると,同条第1項
     にいう「裁判官について裁判の公平を妨げるべき事情があるとき」とに,
     裁判官がその担当する事件の当事者と特別な関係にある場合,裁判の手
     続外において特別な結び付きがあったために既に一定の判断を形成して
     いる場合その他の裁判の手続外における特別な要因により当該裁判官に
     よってはその事件について公平で客観性のある審理判断がされることを
     信頼することが困難であると判断される場合をいうと解するのが相当で
     ある。

       このように,裁判の手続内で行われた審理判断に関して違法,不当な
     点が存在する場合には,事件の当事者が法令の定める不服申立方法によ
     って不服を申し立てることにより当該不服申立手続において事後的に是
     正がされることとされているのであり,当該事件の審理に手続上の違法
     があることなどは,当該事件に係る談判手続において法令の定める不服
     申立方法により救済を求めるべきであって,上記の各自由があるという
     だけで直ちに忌避の理由とすることはできないものと解するのが相当で
     ある。

    (2) これを本件にっいてみるに.一件記録によれば,基本事件の原判決が
     いう本件各配転の前提となる本件構造改革は,その実施により労働者に
     とって賃金の減額又は職種若しくは勤務場所の変更を受け入れざるを得
     ない事態を招来するものであり,後者は労働者にとって既得の権利とは
     いえないものではあっても事実上享受していた利益を喪失する結果を来
     すものであることから,申立入らにおいては,少なくとも,本件構造改
     革の合理性は,経営上の必要性と労働者の受ける不利益との両面から種
     々の考慮質素を検討した上で総合的に判断することを要する重要な問題
     であるとの認識の下に,申立人らの立場から上記の問題について判断す
     る上で必要であるとして申立人らの指摘する人証の申出をしたものであ
     ることがうかがわれ,かつ,本件裁判官3名は合議の上裁判体としてそ
     の必要がないとして上記の申出を却下したことが認められるところ,申
     立入らがその立揚から不服とする上記却下決定の是非ば.正に裁判の手
     続内で行われた審理判断に関する不服申立方法によって解決されるべき
     事柄であって,本件裁判官3名が合議の上上記のような判断をするに至
     ったことが,本件裁判官3名について,裁判官がその担当ずる事件の当
     事者と特別な関係にある場合,裁判の手続外において特別な結び付きが
     あったために既に一定の判断を形成している場合その他の裁判の手続外
     における特別な要因により当該裁判官によってはその事件にっいて公平
     で客観性のある審理判断がされることを信頼することが困難であると判
     断される場合に当たるということはできない。

      その他一件記録を糖査しても,本件基本事件について本件裁判官3名
     に民事訴訟法第24条第1項にいう「裁判官について裁判の公正を妨げ
     るべき事情がある」ということはできない。

   3 よって,本件忌避申立はいずれも理由がないから却下することとして,
   主文のとおり決定ずる。
     平成19年11月7日
      東京高等裁判所第21民事部

            裁判長裁判官   濱   野        惺
                 裁判官   高   世   三   郎
                 裁判官   西   口        元
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